Japanische Klassiker mit Furigana
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あじさい
たそがれの人間 佐藤春夫怪異小品集
佐藤 春夫
Lesen Sie たそがれの人間 佐藤春夫怪異小品集 (あじさい) von 佐藤 春夫 (さとうはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 41.277 Zeichen · 84 Bildschirme
「小さな子供とお母さんとがいますが、親子とも不具者です――そやな、あの母子はちと陰気やな(と石垣はしきりと自問自答して)先生のお隣りの部屋ですが、五つになってもまだ口を利かないという子供を育てているびっこの後家さんです。後家さんやともいうし、亭主がほかに女子をこしらえたんで別居しているらしいともいう。どっちやがほんまやわからへん。」
「年は。」
「まあ見たところ三十五六か知ら。」
「顔立は。」
「アキマヘン。テンとアキマヘン。」
と石垣はアッサリ無慈悲な一句で評し去ってバットに火をつけている。
「皆ここに来て十日位にはなるのだね。誰も今までに僕のような感じを持ったものはなかったかい。」
「別にそんな話出た事はありません。」
「それなら別に気にすることもないね。」
「ただ僕一ぺんおかしな事ありました。越してきて二日目か三日目か知らの晩でした。こうしてここへ坐って原稿書きで徹夜していますと、何やあそこのふすまがそっと開いたような気がしたのでふりかえって見たら誰も居らしまへん。でも誰やら僕のところのぞいてから梯子段を下りて行ったものがあるような気がしてならんので、気をつけていましたけれどそれ切り誰も上っては来ません。