Japanische Klassiker mit Furigana
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あじさい
たそがれの人間 佐藤春夫怪異小品集
佐藤 春夫
Lesen Sie たそがれの人間 佐藤春夫怪異小品集 (あじさい) von 佐藤 春夫 (さとうはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 41.277 Zeichen · 84 Bildschirme
と見ていると、やおら立って、一礼するや、
「失礼いたしました、ご免あそばせ」
と云い残して出て行った。老夫人が玄関の扉をあけるのを、F君はあとから、
「では、おだいじに」
と見送っている。
ただの患者ではなくF君の知人ででもあろうか。すべてのもの腰がこの場末の医院の待合室で見慣れている人々とはおのずからちがった人品に見えるうしろ姿の残象を見送っているところを、F君は、
「では拝見いたしましょうか」
と診察の座へ自分たちを促し迎えるのであった。
先ず初雄さんをというのを、初雄が尻ごみするので自分が見てもらうと、はじめは大ぶん赤くなっていますなと不安がられた眼も、つぶさに診察の結果は何でもなく、ほんの沙埃が入ったのを、あまり気にしてこすり立てたために起した現象ででもあろうというので、ふたりとも洗眼と点薬だけですんで、初雄ももう薬が眼にしみないのをよろこんでいる。「これからおいおいと温くなって」とF君は手を洗いながら云うのであった。
「風の多い日がつづくと誰しもそんな事がよく起ります。再発しやすい季節ですが、もう完全になおっていますから大丈夫です、あまり神経質におなりにならないがよろしい。