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Japanische Klassiker mit Furigana

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ちくしょうだに

ちくしょう谷

山本 周五郎

Lesen Sie ちくしょう谷 (ちくしょうだに) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 69.788 Zeichen · 138 Bildschirme

Aozora Bunko

と伊平次は続けた、「堤町の安岡宗庵ですが、その話によると織部どのの傷のうち、心臓を突きぬいた一刀はうしろからやったもので、傷口は背中から胸へ貫いていたというのです」

「それで」と隼人は眼をあげた、「――なにが不審だというのですか」

その反問は意外だったのだろう、伊平次はちょっと口ごもった、「なにがと云って、真剣勝負にうしろ傷ということがあるでしょうか」

「ごく稀だろうけれども、絶対にないとは云えないでしょう」と隼人が云った、「それよりも、あの件は御老臣がたの吟味によって始末がついている、動かない証拠があればともかく、疑わしいという程度の理由で、騒ぎをむし返すようなことは慎んで下さい」

「わかりました」と伊平次は頷いた、「ほかにも不審なことがあるのだが、そういう御意見ならなにも云わないことにします」

若いためにこらえ性がないのだろう、伊平次の顔に不満の色があらわれるのを、隼人は認めた。

「丹後さまの騒ぎを覚えていますか」と隼人は静かな口ぶりで訊いた、「――あのとき萱野大学どのが詰腹を切らされ、貴方のお父上も百日の閉門を仰せつけられたでしょう」

「ええ知っています」