Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
きつねつき
ちくま日本文学012 中島敦
Lesen Sie ちくま日本文学012 中島敦 (きつねつき) von Nakajima Atsushi (中島 敦) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.136 Zeichen · 19 Bildschirme
言葉つきから判断すれば、それは生きながら皮を剥がれた野獣の霊ででもあるように思われる。一同が考えた末、それは、蛮人に斬取られた彼の弟デックの右手がしゃべっているのに違いないという結論に達した。四五日すると、シャクはまた別の霊の言葉を語り出した。今度は、それが何の霊であるか、すぐに判った。武運拙く戦場に斃れた顛末から、死後、虚空の大霊に頸筋を掴まれ無限の闇黒の彼方へ投げやられる次第を哀しげに語るのは、明らかに弟デックその人と、誰もが合点した。シャクが弟の屍体の傍に茫然と立っていた時、秘かにデックの魂が兄の中に忍び入ったのだと人々は考えた。
さて、それまでは、彼の最も親しい肉親、及びその右手のこととて、彼にのり移るのも不思議はなかったが、その後一時平静に復ったシャクが再び譫言を吐き始めた時、人々は驚いた、今度はおよそシャクと関係のない動物や人間共の言葉だったからである。
今までにも憑きもののした男や女はあったが、こんなに種々雑多なものが一人の人間にのり移った例はない。ある時は、この部落の下の湖を泳ぎ廻る鯉がシャクの口を仮りて、鱗族達の生活の哀しさと楽しさとを語った。