Japanische Klassiker mit Furigana
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とかげ
とかげ
室生 犀星
Lesen Sie とかげ von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.977 Zeichen · 7 Bildschirme
わたしは竹切れをさがした。その尖端をナイフで掠め、ナイフと同じいくらいの鋭い刃拵えをした。指頭にさわると西洋剃刀くらいの刃あたりが麗朗として感じられた。――わたしはこれでいいと呟いた。これなればあいつの尾くらい切れるだろうと思った。早くおやり、誰かがそう言う。振りかえると庭のすみの方に下婢が黙って張物している。うしろ向きになって絹裏を板の上で湿らせ、指さきで練っている。日かげで下婢の顔が赤く恐ろしくなって見える。……
「何時か?――」
わたしは下婢にそう声をかけた。寂寞がわたしをそう呼ばしたのではなく、ただ、何気なく、言わば心にもないことを尋ねたのである。
「何時でございますか知ら? 見てまいりましょうか。」
「いや。」
ちょっと考えて「二時ころだろうね。」と言った。
「まだ郵便がこないところから見ますと、二時ちょっと廻ったくらいでございましょうね。」
わたしはその時に棒切れをとかげの尾にさわらせようとしながら、ぐいと力をこめ、砂利に棒切れの突っ立つ音をきいたが、
「そんなものだろう。――」
と言った。てれているのだわたしは? が、とかげは一寸くらいのちぎれた尾を置いて、からだの拍子をとりにくそうに逃げた。