Japanische Klassiker mit Furigana
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とむらいきかんしゃ
とむらい機関車
大阪 圭吉
Lesen Sie とむらい機関車 (とむらいきかんしゃ) von 大阪 圭吉 (おおさかけいきち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 186.729 Zeichen · 371 Bildschirme
博士はそれから、「歌姫」を相手にして暫く妙な問答をしながら、それとなく鋭い眼で相手の身体検査をするらしかったが、直ぐに向き直って司法主任へ云った。
「この男は犯人ではありません。どこにも血がついていません。あれだけの惨劇を狂人がしでかして、こんなに綺麗でいる筈はありません。……やはり共犯ではなく、残りの二人のうちの誰かがやったんでしょう。とにかく、この男は、もう元の住家へ返してもよろしい」
そこで博士の指図通り、「歌姫」は無事に赤沢脳病院へ連れ戻されて行った。
そして司法主任は、残る「トントン」と「怪我人」の捜査に全力を注ぎはじめた。
ところが、それから一時間としない内に、松永博士の恐ろしい予言が、とうとう事実となって報告されて来た。
それは――M市の場末に近い「あづま」と呼ぶ土工相手の銘酒屋の女将が、夜に入って、銭湯へ出掛けようとして店の縄暖簾を分けあげた時に、暗い道路の向うからよろよろとやって来た男があったが、近付くのを見ると女将はキャッと声を上げた。着物の前をはだけた中年の男で、顔中血だらけにして両の眼を異様に据えつけたまま、お地蔵様のように捧げた片手の掌の上に、なにか崩れた豆腐のようなものを持って見るからに蹌踉とした足取りで線路の方へ消えて行った、と云うのだった。