Japanische Klassiker mit Furigana
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とむらいきかんしゃ
とむらい機関車
大阪 圭吉
Lesen Sie とむらい機関車 (とむらいきかんしゃ) von 大阪 圭吉 (おおさかけいきち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 186.729 Zeichen · 371 Bildschirme
闇の中から、臍まで泥だらけにして鶴嘴を肩にした男が、ギロッと眼だけ光らして通ったかと思うと、炭車を押して腰に絣の小切れを巻いた裸の女が、魚のように身をくねらして、いきなり飛び出したりした。
お品と峯吉は、こうした荒々しい闇の世界が生んだ出来たての夫婦であった。どの採炭場でもそうであるように、二人は組になって男は採炭夫を、女は運搬夫を受持った。若い二人は二人だけの採炭場を持っていた。そこでは又、小頭の眼のとどかぬ闇が、いつでも二人を蜜のように押し包んだ。けれども例外ということの認められないこの世界では、二人の幸福も永くは続かなかった。
それは流れ落ちる地下水の霧を含んだ冷い風が、いやに堅坑の底まで吹き降ろして来る朝のことであった。
二枚目の伝票を受取ったお品は、捲立の底で空になって降ろされて来た炭車を取ると、そのまま長い坑道を峯吉の採炭場へ帰って行った。炭坑は、謂わば黒い息づく地下都市である。二本の竪坑で地上と結ばれた明るい煉瓦巻の広場にはポンプや通風器の絶え間ない唸りに、技師のT型定規や監督の哄笑が絡まって黒い都市の心臓がのさばり、そこから走り出した太い一本の水平坑は謂わば都市計画の大通りだ。