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Japanische Klassiker mit Furigana

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とむらいきかんしゃ

とむらい機関車

大阪 圭吉

Lesen Sie とむらい機関車 (とむらいきかんしゃ) von 大阪 圭吉 (おおさかけいきち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 186.729 Zeichen · 371 Bildschirme

Aozora Bunko

滝口坑にしてからが、いつかはそうしたこともあろうかと、最善の防禦と覚悟が用意されていたのであるが、そして又そうした用意の前には、決して恐るるに足りない物なのであるが、しかしいま、係長の舌の上に乗ったこの水一滴こそは、実に滝口坑全山の死命を決するものであった。もはや如何なる手段も絶対に喰止めることの出来ないその水は、地下水でもなければ、瓦斯液でもない。それは至極平凡な、ただの塩水であった。

「失敗った!」

最初の海の訪れを口にした係長は、思わず顫え声で叫んだ。

「こいつは人殺しどころではない。とうとう海がやって来たのだ!」

ところが、こうした大事を目の前にして、その頃から菊池技師の態度に不思議な変化が起って行った。それは放心したような、立ったまま居睡りを始めたような、大胆にも異様に冴え切った思索の落つきであった。

「相手が海では、敵いませんよ」

やがて技師が、冷然として云い放った。

「さア、諦めなさい、係長。そしてまだ充分時間があるんですから、落付いて避難の仕度にかかりましょう。ところであなたはいま、人殺しどころではないと云いましたね? 成る程、そうかも知れません。