Japanische Klassiker mit Furigana
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とむらいきかんしゃ
とむらい機関車
大阪 圭吉
Lesen Sie とむらい機関車 (とむらいきかんしゃ) von 大阪 圭吉 (おおさかけいきち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 186.729 Zeichen · 371 Bildschirme
四
では、警察官が着くまで、暫く白鮫号を、私達にお貸し下さいませんか?」
「どうぞ御自由に」
すると東屋氏は、私の肩を叩きながら、わざと向うへ聞えるような大声で、
「おい、鳥喰崎へ行って見よう」
四
低気圧がやって来ると見えて、海は思ったよりもうねりが高かった。急に吹き始めた強い南風に先の尖った小さな無数の三角波を乗せて、深谷邸のある岬の方へむくむくと押しかけて行く。堪えられないほど陰気な色の雲が、白けた太陽の光を遮る度に、或は濃く或は薄く、水の色が著るしく映え変る。と、横ざまの疾風を受けて、藍色の海面は白く光る、小さな風浪に覆いつくされ、毒々しい銀色にきらめき渡る。白い冷たいその海の彼方には、暗緑の鳥喰崎が、折りからの雲の切れ目を鋭い角度で射通した太陽の点光に照らされて、心持ち赤茶けながらくっきりと映えあがって来た。
私達の乗った白鮫号は、左舷の前方から強き南風を受けて、射るように速くうねりを切って走り続ける。私も東屋氏もヨットの帆走法は心得ていたし、それにこのシックなマルコニー・スループは、恐ろしく船足が軽い。やがて私は、軽く面舵を入れた。白鮫号の船首は、緩やかな弧を描いて大きく右転しはじめる。