Japanische Klassiker mit Furigana
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どらねこかんさつき
どら猫観察記
柳田 国男
Lesen Sie どら猫観察記 (どらねこかんさつき) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.670 Zeichen · 12 Bildschirme
四
人が居ないと昼寝は縁に上ってするのみならず、時々はそろりと座敷にも入って来る。此方から声をかけるとすぐ隠れる癖に、雨の降る日などはやはり淋しいものか、何度でもやって来て唐紙があいて居れば中を覗き、人を見るときっと鳴くのは、虎属の獣のようでも無かった。
又一匹だけ大きくなって迄、妙に気の善い馴々しいのが居た。家の子供がタマと名を附けて食物を与え、庭に出ると来て抱かれる程に親しんで居た。是だけは或は別系統のまぐれ者かとも思って見たが、毛色の赤斑がよく似て居た処を見ると、やはり遺伝に色々の変化があっただけで、この一門のうちには相違なかった。そうしてそれも後には亦疎遠になり、他の同類と区別がしにくくなった。
四
猫が人間から離反しようとする傾向は、実は夙くより見えて居たのであった。大体に於て両者を結合する縁の糸は、牛馬鶏犬の如く強靱なものではなかった。人の方でもあの眼に油断せず、十分に心を許さなかったのである。メエテルリンクの「青い鳥」にもあるように、何かと言えば恨み憤り、復讎でも考えて居るのでは無いかと、疑ってよいような挙動さえあった。しかも利己一遍の人類に向って、彼等の奉仕といえば鼠狩より他は無かったが、それすらも頼めば却って怠るかの如き様子が見えた。