Japanische Klassiker mit Furigana
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わかむらさき
わか紫
泉 鏡花
Lesen Sie わか紫 (わかむらさき) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 37.708 Zeichen · 75 Bildschirme
一段高い廊下の端、隣座敷の空室の前に、唐銅で鋳ての見ゆる、魔神の像のごとく突立った、鎧かと見ゆる厚外套、杖をついて、靴のまま。
大跨に下りて、帽を脱し、はたと夫人の爪尖に跪いて、片手を額に加えたが、無言のまま身を起して、同一窓に歩行み寄った。深夜に鼠の気勢もさせず、帽とともに小脇にかかえた杖よりも身を細く、小さな口から、するりと抜けると、硝子窓は向うから、音もなく、するりとおのずからしまるのが、姿見にありありと映って、夢の覚際かと見えたのである。
さて、蒸風呂の中で認めた、警部長の准逮捕状には、偉大なる反響があった。一旦夫人の情に因って、八方へ遁れた、万綱の配下の兇賊、かねて目指された数をあまさず、府、県、町、村、いうに及ばず、津々浦々にいたるまで、最寄々々に名告って出た。
御曹子はしからず。ただ崖の客の盲いたるは、紫鉛筆の粉のためといい伝えて、いずれも意外の毒に舌を巻くばかり。自らその罪を責めて、甘んじて享くべき縲紲を、お鶴のために心弱り、獄の暗よりむしろつらい、身を暗黒に葬ったのを、秘に知るは夫人のみ。
程過ぎてつれづれに、琵琶を、と秋山の命で、座敷に招いた事がある。