Japanische Klassiker mit Furigana
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わがまち
わが町
織田 作之助
Lesen Sie わが町 (わがまち) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 93.840 Zeichen · 186 Bildschirme
君枝は今日次郎に会ったことを言いそびれた。
言えば、他吉はびっくりもし、喜びもするだろうと思ったが、他吉の知らぬ間に次郎と会うたことがなにか済まないような気がするのだった。
その癖、次郎のことを口にだしたくて仕方がないのだ。寝転んでいる他吉の上へ蚊帳を釣りながら、よっぽど起して、そうめんを一緒に食べながら、次郎のことを言い、プラネタリュウムの話もしようと思ったが、ぐんなりして鼾をかいている他吉の寝顔を見ると、起す気にはなれなんだ。
「明日の朝話そ」
君枝は呟いたが、朝起きざまに、今日は次郎に会うのだという考えが、ぽっと頭に泛ぶと、やはり君枝は次郎のことを言いそびれてしまった。
5
お渡御(わたり)に出て、すっかり疲れ切っていたが、しかし、他吉は夜が明けて路地の空地で行われる朝のラジオ体操も休まなかった。
そして、いつものように夕方から俥をひいて出て、偶然通りかかった難波橋の上から、誰やら若い男と一緒にボートに乗っている君枝の顔を、ボートの提燈のあかりでそれと見つけた。
客を乗せているのでなければ、俥を置き捨ててそのまま川へ飛び込み、ボートに獅噛みついてやりたい気持を我慢して、他吉は客を送った足ですぐ河童路地へ戻り、