Japanische Klassiker mit Furigana
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わがまち
わが町
織田 作之助
Lesen Sie わが町 (わがまち) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 93.840 Zeichen · 186 Bildschirme
あんな子になってみイ、どないもこないも仕様ない。親も親や、ようそんだけ金持たしよるな」
それに比べると、うちの子はちがう、学校がひけてから三助が湯殿を洗う時分まで、下足をとって晩飯つきの月に八十銭だと、他吉の肚はもう動かず、翌日から君枝は日の丸湯へ通いで雇われた。
学校をひけて帰ると、ひとけのない家のなかでしょんぼり宿題をすませる。それから日の丸湯へ行き、腹の突きでた三助の女房に代って、下足の出し入れをするのだ。
履物を受け取って下足札を渡し、下足札を受け取って履物を渡す――これだけの芸は間誤つきもせずてきぱきとやれ、小柄ゆえ動作も敏捷に見えたが、しかし、できるだけ大きな声でといいつけられた――。
「おいでやす」
「毎度おおけに」
この二つはさすがにはじめのうちは、主人から苦情が出た。
夜、立て込む時間はまるで客の顔が見えず、血走った眼玉で、下足札の番号をにらみつけ、しきりに泡食っていた。
ことに雨降りの晩は傘の出し入れもしなければならず、濡れた傘のじっとりした手ざわりがたまらなかった。
冬がいちばん辛かった。手足の先がチリチリ痛むのだった。客がはいって来るたびに、さっと吹きこんで来る冷たい風だ。