Japanische Klassiker mit Furigana
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われらのいえ
われらの家
宮本 百合子
Lesen Sie われらの家 (われらのいえ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.887 Zeichen · 6 Bildschirme
泰子は、笑った。
「自分の育った処ですもの、私も、偶には『いっさんばらりこ』を聞かないで、さっぱりするでしょう、真個に此処は喧しいんですものね
全く、泰子達が去年の秋から住んで居る其家は、場所と云い、構えと云い、不愉快極るものであった。
丁度駒込一帯の高台の端に建って居る、四間の家は、長屋のびっしり詰った谷一つを越して、桜や松の植込みが見える曙町の高台に面して居た。
夜に成ると、山門と、静かな鐘楼の間から松の葉越しに、まるで芝居の書割のように大きな銀色の月が見える吉祥寺が、大通の真前にあった。
俥が漸々入る露路のとっつきにある彼女等の格子戸は、前に可愛い二本の槇を植えて、些か風情を添えて居るものの、隣家の煉瓦塀に面して、家への通路らしい落付きは何処にも無かった。
朝、日が昇ると一緒に硝子窓から射込む光線が縞に成って寝室に流れ込むほど、建物も粗末だった。
五つの年から、畑のある家で大きく成った泰子は、貸家払底の恐ろしさを始めて味わされた。
其ばかりか、その附近には、幼稚園の中のように子供が沢山居た。
狭い庭を取繞いた板塀に添うて、石の段々が、下の長屋までついて居る。