Japanische Klassiker mit Furigana
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われらのいえ
われらの家
宮本 百合子
Lesen Sie われらの家 (われらのいえ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.887 Zeichen · 6 Bildschirme
午後六時
窓硝子を透して、戸外の柔かい瑠璃色の夕空が見える。
朝は思いがけなく雪が降って、寒い日であった。
泰子は、チロチロと焔の揺れる、暖かい食堂のストーブの傍のディブァンに坐って、部屋の有様を眺めて居た。
中央の長卓子の処には、母親を中央に置いて弟と妹とが何か頻りに喋って居る。
「ね、おかあさま、酷いのよ。新らしい、ちゃんと作ってある畑をわざと滅茶滅茶に踏こくったり、ガワガワ樹の皮を剥いたりするんですもの、僕驚いちゃったや
「ああああ其那ことをする者はね、決して立派な子じゃあないよ
「此の水毒じゃあないのおかあさま、よ、此の水
卵色の着物を着た小さい妹は、一生懸命に兄から母親の注意を呼び戻そうとして、大きなコップに水が入ったのを差しあげ乍ら声をかけて居る。――
黙って此等の家庭的な光景を眺め乍ら、泰子は何とも云いようのない、ひっそりと寂しい心持が胸に湧上って来るのを感じた。
目の前にあるあらゆる顔、あらゆる家具は、彼女にとって皆馴染み深い、懐しいものばかりである。
丁度今頃、矢張り斯うやって同じディブァンの上に坐り乍ら、何度、斯様な賑やかな睦しい同胞共の様子を眺めて来ただろう。