Japanische Klassiker mit Furigana
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アンドロギュノスのちすじ
アンドロギュノスの裔
渡辺 温
Lesen Sie アンドロギュノスの裔 (アンドロギュノスのちすじ) von 渡辺 温 (わたなべおん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.168 Zeichen · 267 Bildschirme
と云った以上、そんな女給ともよく識り合っていて、食べ物は勿論万事さぞ気儘に振舞ってみせるだろうと考えていたのに、全くそうではなかったのである。そしてまた女給にしろ、娘に対してどんな特別な親しさをも、或は怪しさをも示さなかった。してみると、娘が知っていると云ったのは単にその家の所在を意味するだけのことらしい。二人は全くフリのお客に過ぎなかった。
そこで井深君は、自分でも未だ夕飯前だったので、兎に角あまり上等ではないその家の料理を娘につき合って食べた。娘はいかにもおずおずと振舞いはしたものの、彼女の胃袋は井深君の二倍の食慾をもってむさぼり食べた。井深君はその様子を決して不愉快ではない、むしろ或る愛情をもって観察した。年恰好は十六七位の見かけなのだが、それでも本当はもっと余計なのかも知れない。マシマロのように豊かな顔の輪廓に思い切り短く刈り上げてしまったお河童がちっとも不自然でなくよくうつっていた。目鼻立ちもわりに品があってそう悪くはなかった。殊に眼は、物を食べ乍ら時々見上げては極り悪そうに笑う眼は、睫毛が長く散りひろがって、少しばかりやぶ睨みで、ひどく子供っぽい表情になって可愛らしかった。