Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
アンドロギュノスのちすじ
アンドロギュノスの裔
渡辺 温
Lesen Sie アンドロギュノスの裔 (アンドロギュノスのちすじ) von 渡辺 温 (わたなべおん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.168 Zeichen · 267 Bildschirme
刑事は、卓子の位置と死人の姿勢とが上役のこの観察を否定していないので押し返して云い張るわけにもいかない。
すると其処へ葛飾が悄然と立ち帰って来た。新しいインヴァネス――倫敦仕立てのの洒落たものだが、その羽は惨めに綻びているし、それにシャツの襟にはネクタイもない。そんな乱れた姿が直ぐに刑事の目を惹いたことは云うまでもない。
『何処へ行っておいででした?』
『八木恭助と云う友人の家です。』
『昨夜は其処にお泊りになったのですね?』
『そうです。問い合せて下すっても、差し閊えありません。――』葛飾は友人の家の所番地を刑事に告げた。
『まるで喧嘩でもしたような恰好ですね。尤も画家には服装などをあまり気にしない性質の人が多いようですが。』
『ええ――』と葛飾は当惑したらしく言葉を濁すのである。
『恥を申し上げるのですが、実は昨夜妻と掴み合いの喧嘩を致しました。』
『ほほう。』と役人は葛飾と美代子との顔を見比べて不遠慮な薄笑いを浮かべた。『失礼ですが、どう云うことが原因で?』
『お話し致し兼ねます。』
『併し、未だ自殺と決定したわけでもないのですし、よしまた自殺にしても、我々は出来るだけ事件の前後の模様を明かにして置く必要があるのですが。