Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

オペラのつじ

オペラの辻

岡本 かの子

Lesen Sie オペラの辻 (オペラのつじ) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.858 Zeichen · 8 Bildschirme

Aozora Bunko

私はベルベットの洋服の袖で眼をぬぐった。

「まだ泣いている。さあ、これから僕達一緒に巴里に棲むんじゃないか。仕合せに元気に暮らそうよ」

子どもは稚い母が泣く意味を知っていた。顔が真赤だった。

私達がパリに棲みつきシャンゼリゼ座で世界の唄手シャリアピンを聴いて帰る道での興奮。西班牙の美女ラッケ・メレの舞踊を見ての礼讃。名優サシャギトリー見物後の批評等。世界の芸術道場に在って親子三人いつも一緒に観賞をむさぼれるのはしあわせだった。だが

「こうして居る間も巴里がいよいよ子どもに染み込む」私の子に対する情痴はいつもおびえていた。

事実巴里は一日一日と子どもに染み込んで行った。巴里をかりに悪くいえば子どもは真赤になって怒った。巴里はもはや完全に子どもの恋人だった。親の見る眼もいとおしいほど子どもの若い心に巴里の悲哀も歓楽も染みて行った。巴里から、とても子どもは離せまいとすっかり見極めをつけずにはいられなくなった。この子の巴里を迎い入れる天稟も私の好尚の第一意義に合致するのはうれしくも遣る瀬ないことだった。

子どもが学校の寄宿へはいり私達がベルリンに移り住む前夜のオペラ見物のかえりに三人はまたカフェー・ド・ユ・ラ・ペイユに行った。