Japanische Klassiker mit Furigana
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カインのまつえい
カインの末裔 クララの出家
有島 武郎
Lesen Sie カインの末裔 クララの出家 (カインのまつえい) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.864 Zeichen · 93 Bildschirme
馬車はかしいだり跳ねたりした。その中で彼れは快い夢に入ったり、面白い現に出たりした。
仁右衛門はふと熟睡から破られて眼をさました。その眼にはすぐ川森爺さんの真面目くさった一徹な顔が写った。仁右衛門の軽い気分にはその顔が如何にもおかしかったので、彼れは起き上りながら声を立てて笑おうとした。そして自分が馬力の上にいて自分の小屋の前に来ている事に気がついた。小屋の前には帳場も佐藤も組長の某もいた。それはこの小屋の前では見慣れない光景だった。川森は仁右衛門が眼を覚ましたのを見ると、
「早う内さ行くべし。汝が嬰子はおっ死ぬべえぞ。赤痢さとッつかれただ」
といった。他愛のない夢から一足飛びにこの恐ろしい現実に呼びさまされた彼れの心は、最初に彼れの顔を高笑いにくずそうとしたが、すぐ次ぎの瞬間に、彼れの顔の筋肉を一度気にひきしめてしまった。彼れは顔中の血が一時に頭の中に飛び退いたように思った。仁右衛門は酔いが一時に醒めてしまって馬力から飛び下りた。小屋の中にはまだ二、三人人がいた。妻はと見ると虫の息に弱った赤坊の側に蹲っておいおい泣いていた。笠井が例の古鞄を膝に引つけてその中から護符のようなものを取出していた。