Japanische Klassiker mit Furigana
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ひきょうもの
カインの末裔
有島 武郎
Lesen Sie カインの末裔 (ひきょうもの) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 25.876 Zeichen · 52 Bildschirme
父はややしばらく自分の怒りをもて余しているらしかったが、やがて強いてそれを押さえながら、ぴちりぴちりと句点でも切るように話し始めた。
「いいか。よく聞いていて考えてみろ。矢部は商人なのだぞ。商売というものはな、どこかで嘘をしなければ成り立たん性質のものなのだ。昔から士農工商というが、あれは誠と嘘との使いわけの程度によって、順序を立てたので、仕事の性質がそうなっているのだ。ちょっと見るとなんでもないようだが、古人の考えにはおろそかでないところがあるだろう。俺しは今日その商人を相手にしたのだから、先方の得手に乗せられては、みすみす自分で自分を馬鹿者にしていることになるのだ。といってからに俺しには商人のような嘘はできないのだから、無理押しにでも矢部の得手を封ずるほかはないではないか」
彼はそんな手にはかかるものかと思った。
「そんならある意味で小作人をあざむいて利益を壟断している地主というものはあれはどの階級に属するのでしょう」
「こう言えばああ言うそのお前の癖は悪い癖だぞ。物はもっと考えてから言うがいい。土地を貸し付けてその地代を取るのが何がいつわりだ」
「そう言えば商人だっていくぶん人の便利を計って利益を取っているんですね」