Japanische Klassiker mit Furigana
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チェーホフのたんぺんについて
カシタンカ・ねむい 他七篇
神西 清
Lesen Sie カシタンカ・ねむい 他七篇 (チェーホフのたんぺんについて) von 神西 清 (じんざいきよし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 46.418 Zeichen · 92 Bildschirme
ところがチェーホフの場合はまるで違う。彼は嘘をつきたいなどという洒落た情熱には一度だって襲われたことはあるまいし、間違っても嘘だけはつけぬ男であった。にもかかわらず、この素朴なほど誠実な男が、まるで日常の放談さながらのあけっぱなしな調子で、独特のユーモアをふんだんに交えながら、終始軽快なアレグロのテンポで書き流してゆく手紙のなかに、当人の正体を捕えることは案外なほどむずかしいのだ。そこで彼は、自分について語ることを避けなどしてはいない。むしろ率直に自作の構想や進行状態を語り、自分のあけすけな意見を信仰問題についてさえ開陳して憚からなかった。愚痴や泣言の類も少いどころではない。自分の日常の動静に至っては、彼の報告は驚くほど精細を極めてすらいる。
ところが、そこでコンマがはいる。少し意地わるな眼になって、彼の手紙の要所要所を注意してみると、話が自分の急所にふれそうになる度ごとに、巧みにそれを引っぱずす彼を発見することができるはずだ。こうした話頭転換は到るところに見られるが、一例を挙げれば、『六号室』を読んだスヴォーリンが、何かしら物足りない感じがすると言って来たのに対する彼の返事(一八九二年十一月)がそれである。