Japanische Klassiker mit Furigana
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チェーホフのたんぺんについて
カシタンカ・ねむい 他七篇
神西 清
Lesen Sie カシタンカ・ねむい 他七篇 (チェーホフのたんぺんについて) von 神西 清 (じんざいきよし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 46.418 Zeichen · 92 Bildschirme
できない相談であろう。
要するにチェーホフは急に飛びだしたくなったのである。そわそわして満足に口も利けぬのである。この大旅行の突発性や無根拠さは、さらに事後の彼を見れば益はっきりする。なるほど彼は笞刑の現場を見て幾晩か眠れなかったと告白する。だが結局サガレンに、彼は震憾もされず圧倒もされなかった。何か良心の重荷をおろしたとでもいった気分も手伝ったのだろうか、却って元気が出て陽気にすらなった。――僕は喉もとまで食い足り満ち足りて、今や陶然たる気もちだ。もう何も欲しいものはない。中風になろうが赤痢で死のうが悔いなし、というところだ。余は生活した、余は満足じゃ、というわけだ。僕はサガレンという地獄も見たし、セイロンという極楽も見たのだからね。……これがモスクワに帰って早々、彼が友人に出した手紙の調子である。この太平楽な詼謔のなかには、ただの非情と言っただけでは済まされぬ不敵なものがありはしないか。自己革命のためには、結局サガレンは薬が弱すぎたのである。チェーホフは口惜しかっただろう。
旅行後二年半ほどして、厖大な報告書『サガレン島』が出来あがった。いわゆる「冷厳なること重罪裁判所の公判記録のごとき」