Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
カンカンむしさつじんじけん
カンカン虫殺人事件
大阪 圭吉
Lesen Sie カンカン虫殺人事件 (カンカンむしさつじんじけん) von 大阪 圭吉 (おおさかけいきち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.237 Zeichen · 21 Bildschirme
喬介はそう言い残した儘、呆気に取られている私を見返りもせずプイと構内を飛び出して了った。仕方がないので私は、船渠の開閉作業を見物しながら喬介の帰りを待つ事にした。
一時間して船渠が満水になっても、喬介はまだ帰らない。扉船内の海水が排除されて、その巨大な鋼鉄製の扉船が渠門の水上へポッカリ浮び挙っても、それからその浮び挙った扉船を小船に曳かして前方の海上へ運び去り、小蒸汽に曳航された入渠船が、渦巻きの静まり切らぬ船渠内へ引っ張り込まれても、喬介はまだ来ない。渠門に再び扉船がはめ込まれて、外海と劃別された船渠内の海水が、ポンプに依って排除され始めた頃に、やっと表門の方から一台の自動車が這入って来た。喬介かと思ったら警視庁の車である。さて、事件が大分複雑化して来たなと一人で決め込んだ私の眼の前へ、車の扉を排して元気よく飛び出した男は、ナント吾が親友青山喬介だ。驚いた私の前へ、続いて現れたのは、ガッチリ捕縄を掛けられた、船員らしい色の黒い何処となく凄味のある慓悍な青年だ。二人の警官に護られている。
喬介に伴われた一行が、二号船渠の海に面した岸壁の辺りまで来た時に、どきまぎしながら彼等について行った私に向って、初めて喬介が口を切った。