Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
カンカンむしさつじんじけん
カンカン虫殺人事件
大阪 圭吉
Lesen Sie カンカン虫殺人事件 (カンカンむしさつじんじけん) von 大阪 圭吉 (おおさかけいきち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.237 Zeichen · 21 Bildschirme
『いや、驚いたねえ。随分クソ丁寧に殺したものだねえ。』
喬介に寄り添いながら私が言った。
『全くだ。体中傷だらけだよ。心臓の刺傷と後頭部の猛烈な打撲傷――二つの致命傷が一つの肉体に加えられているんだ。そして、その上に身体一面に恐るべき擦過傷がある。随分惨忍な殺人だよ。勿論屍体はあの通り麻縄でガッチリ縛り、海の真中へ重を着けて沈めたんさ。犯人の頭脳のレベルは決して高いものではないね。まあ九分九厘知識階級の人間でない事は確かだ。だが、推理を起すに当っては、やはり充分な注意を払わなければならん。で、先ず最初に僕が頭をひねったのは、あの幾通りかの傷や機械油が、被害者の体へ加えられて行った順序だ。確かにあれ丈けの変化が一度に起ったとは思われん。いや、それどころか各々の変化には、みんなハッキリした順序が見えている。後頭部の打撲傷や身体各所の激しい擦過傷を思い出し給え。あの二通りの傷は、心臓部の刺傷に比較して恐ろしく周囲の皮膚が擦りむけていたね。一体人間の皮膚と言う奴は、勿論生きている人間の、而も薄い上皮ではなくあの屍人のそれの様に一枚下の厚い奴の事だよ。そう言う皮膚は、あんなに易々と傷口の周囲までまくれて了うものかね? 僕はそう思えないんだ。