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Japanische Klassiker mit Furigana

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キャラコさん

キャラコさん

久生 十蘭

Lesen Sie キャラコさん von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.361 Zeichen · 27 Bildschirme

Aozora Bunko

「この中に、四千万円のお金が入ってるなんて、なんだか、本当のこととは思えないわ。……四千万円! どう考えても、すこし多すぎるようね」

キャラコさんは、紙挾みと角封筒を取り上げると、それを手に持って、長六閣下の居間のほうへ歩いて行った。

庭の奥の矢場のほうで、鋭い弓弦の音が聞える。

キャラコさんは、縁から庭下駄をはいて、庭づたいに、矢場のほうへ入って行った。

長六閣下が、上背のある、古武士のようなきりっとした背を反らせて、しずかに、弓を引き絞っている。まっ白い毯栗の顱頂のうえに、よく晴れた秋の朝の光が、斜めに落ちかかっている。

弓も矢筈も、水のようにしずまりかえって、微動さえしない。

ヒュン、と澄んだ弓弦の音がし、弓から離れた矢は、矢羽根をキラキラ光らせながら、糸を引いたように真っ直ぐにのほうへ飛んでゆく。的の真ん中に矢が突き立って、ブルンと矢筈を震わせる。

キャラコさんは、長六閣下のほうへ近づいて行く。

「お父さん、あたし、きょう、お金をいただきましたの。この中に四千二十五万円ばかり入っているんです」

長六閣下が弓を持ったままで、うん、といいながら、振り返る。