Japanische Klassiker mit Furigana
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キャラコさん
キャラコさん
久生 十蘭
Lesen Sie キャラコさん von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 32.972 Zeichen · 66 Bildschirme
じぶんのほうはそれでいいが、そのために多少とも迷惑をこうむるひとたちのことをかんがえると、じぶんの感情にばかりまかせて簡単に行動するわけにはゆかない。
(そんなことをしたら、無理にこの快遊船へ誘ったイヴォンヌさんや山田氏が不愉快な目にあわしたということで、あたしにすまない思いをするだろうし、アマンドさんだって、少なからず恐縮するにちがいないし……。)
それに、この快遊船の中で、じぶんだけがたった一人の日本人なので、いきおい、注目されたり、批評されたりしなくてはならない立場に置かれているのだと思うと、考えなしな行動はとりにくいのである。
キャラコさんは、あまりものごとに屈託しないたちだが、さすがに、うっとうしくなって、うんざりしてしまう。
「ベットオさんばかりじゃない、あたしだって、こんなうるさいことはまッぴらだわ。今度ぐらいつまらない目にあったことは、まだなかったわ」
丸い船窓から、水のような澄んだ月の光が斜めに床の上へさしこむ。
キャラコさんは、海風にでも吹かれたら、すこしさっぱりするかも知れないと思って、寝衣を脱いで、キチンと服に着かえると、イヴォンヌさんに気づかれないように、そっと甲板のほうへあがって行った。