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Japanische Klassiker mit Furigana

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キャラコさん

キャラコさん

久生 十蘭

Lesen Sie キャラコさん von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.819 Zeichen · 36 Bildschirme

Aozora Bunko

いくども時計を見たか知れないの」

「ボクさん、そうなのよ、あたしもそうなの」

そういいながら、手早く草の上にナプキンをひろげます。サンドイッチが、白と朱肉色の切り口を見せて坐っています。赤い林檎と冷たい蜜柑水!

ボクさんは、あまりうれしくて、すぐ手をつけるわけにはゆかないのです。塀のずっと向うまで駆けて行って、また駆け戻って来ます。それから食べるんですが、あわてふためいて、何もかもいっぺんに嚥み込もうとするもんだから、喉をつまらせて、眼にいっぱい涙をためます。あたしは、いそいで蜜柑水を一口飲ませてやります。見る間に、サンドイッチが消えて無くなる。こんどは林檎です。

ボクさんは、可愛くってたまらないというふうに、それを胸に抱きしめて、

「林檎さん、林檎さん」

と、いいながら、頬ずりをします。

あたしが、さいそくします。

「はやくお喰んなさいね、早く、ね」

困ったことには、利江子夫人は、毎朝、かならず六時ごろ一度眼をさましますが、この時、ボクさんの部屋からヴァイオリンの練習をする音がきこえていなくてはならないんです。

五時半までには、あと四十分ぐらいしかないのですから、ゆっくり喰べさせて置くわけにはゆきません。