Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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『ぐうぞうさいこう』じょげん

ゼエレン・キェルケゴオル

和辻 哲郎

Lesen Sie ゼエレン・キェルケゴオル (『ぐうぞうさいこう』じょげん) von 和辻 哲郎 (わつじてつろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 101.567 Zeichen · 212 Bildschirme

Aozora Bunko

やがて私は未練らしく頭の上の時刻表を見上げた。そうして「おや」と思った。そこには次の汽車との間に今までなかったはずの汽車の時間が掲げてあるのである。私はいくらか救われたような感じであたりを見回した。なるほど大きな掲示が出ている。その臨時汽車はすぐ前日から運転し始めたのだった。「こいつは運がいい。」と私は思った。しかし時間を勘定してみてやはり一時間ばかり待たなければならない事がわかると、私の心はまた元へ戻り始めた。「何だ、こんな事で埋め合わせをするのか、畜生め。」私は仕方なく三等待合室へはいって行った。見ると質朴な田舎者らしい老人夫婦や乳飲み児をかかえた母親や四つぐらいの女の子などが、しょんぼり並んで腰を掛けている。朝からそのままの姿でじっとしていたのではないかと思わせるくらい静かに。その眼には確かに大都会の烈しさに対する恐怖がチラついている。私は引きつけられてじっとその一群を見まもった。そうして、遠くへ行く鈍い三等の夜汽車のなかの光景を思い浮かべた。それは老人や母親にとって全く一種の拷問である。しかし彼らには貧乏であるという事のほかになんにも白状すべきことがない。