Japanische Klassiker mit Furigana
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ノンシャランどうちゅうき
ノンシャラン道中記
久生 十蘭
Lesen Sie ノンシャラン道中記 (ノンシャランどうちゅうき) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.165 Zeichen · 24 Bildschirme
それが今度、海を渡ったキブロンの波止場の近くへ、親方から出店を出さしてもらいまして、一升五法のオオ・ド・コロオニュだの、マルセーユできのコティの紛白粉だの、……これは内証の話なんですが、ま、そういった商売上手なんでして、わたくしに、ぜひ一度店を見に来て、香水棚の下にカアテンを廻したり、鏡の下に花模様を入れたりしてくれるように頼んでまいったんでございまス。お願いと申しまするのは他でもございません、如何でございましょう、往きが四時間、復えりが十時間、向うにいる日を一日と見て、たった二日だけ子供たちをお預りくださるわけにはまいりますまいか。喰べ物の好みはいわず、贅沢もいわず、朝は早起き、戸外へ出るのは何より嫌い、二番目の女の子などは、背中の真ん中にあるホックまで独りで掛けるんでございまス。身体の丈夫なことは、まるでブリキで作った騎手のようで、落しても転がしても、決してこわれるようなことはないんでございまス。物覚えのいいのは母親似でございまして、一月生れの末の子などは、もう「仏蘭西万歳」といえるんでございまス。如何なものでございましょうか? これはまあ夫人さまさっそくご承知くださいまして有難う存じまス。