Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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「モダンさるかにがっせん」

「モダン猿蟹合戦」

宮本 百合子

Lesen Sie 「モダン猿蟹合戦」 (「モダンさるかにがっせん」) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.414 Zeichen · 15 Bildschirme

Aozora Bunko

といって見ている。小学校の六年生ぐらいの女の子が突然群集の中から大きい四辺かまわない声を出して、

「満州をとっちゃうと、もっと金や何かとれて得するねエ」

と云うと、一緒に見ていた若い学生がさすがにきまりわるそうな小声で、

「とるんじゃないよ」

と云った。(成程ブルジョア新聞には満州をとるとは書いてない。)

「じゃ借りるの?」

「――さア、何ていうのか――」

うまく説明がつかないで、そのまま黙ってしまった。

絵はいろんな色がつかってひどく人目をひくように描かれているし、みんなの知っている猿蟹合戦になぞらえ、猿は仇と昔ながらにきめて扱ってあるから、一応だれにでも訳はわかるような気がするのです。

ところがヨクヨク気を落ちつけて見ると、この絵物語は変だ。

そもそも遼東という握り飯を先ずとり、それを柿の種に代えられたという蟹は、日本とだけ書いてあるが、ジックリ考えれば妙な話です。日本と云っても資本家とそれに搾られている勤労階級というものがハッキリわかれてある。そのうちどっちが柿の種を貰ったのでしょうか?

満州へ出稼ぎに行ったという人は、われわれ働く者のまわりにもあります。