Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ランスきこう

ランス紀行

岡本 綺堂

Lesen Sie ランス紀行 (ランスきこう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.777 Zeichen · 12 Bildschirme

Aozora Bunko

『どうぞお構いなく……。わたくしもすいます。』

七時五十五分に出る筈の列車がなかなか出ない、一行三十余人はことごとく乗り込んでしまっても、列車は動かない。八時を過ぎて、ようように汽笛は鳴り出したが、速力は頗る鈍い。一時間ほども走ると、途中で不意に停車する。それから又少し動き出したかと思うと、十分ぐらいで又停車する。英国紳士はクックの案内者をつかまえて其理由を質問していたが、案内者も困った顔をして笑っているばかりで、詳しい説明をあたえない。斯ういう始末で、一進一止、捗らないことおびただしく、われわれももううんざりして来た。きょうの一行に加わって来た米国の兵士五六人は、列車が停止するたびに車外に飛び出して路ばたの草花などを折っている。気の早い連中には実際我慢が出来ないであろうと思い遣られた。

窓をあけて見渡すと、何というところか知らないが、青い水が線路を斜めに横ぎって緩く流れている。その岸には二三本の大きい柳の枝が眠むそうに靡いている。線路に近いところには低い堤が蜿ってつづいて、紅い雛芥子と紫のブリュー・ベルとが一面に咲きみだれている。薄のような青い葉も伸びている。