Japanische Klassiker mit Furigana
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リラのてがみ
リラの手紙
豊田 三郎
Lesen Sie リラの手紙 (リラのてがみ) von 豊田 三郎 (とよださぶろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.702 Zeichen · 30 Bildschirme
隙をうかがっては彼の傍に現われて話しかけ、襟の屑を払ったり、しまいには夜具の汚れた上被を解いて洗い、毎日、新らしい花を生けた。久能は一向気づかない風だったが、ある夜帰って来るとノートが十二頁青江の手で写され、彼女は尚机にうつぶしになって一心にペンを動かしていた。久能はすぐ難かしい顔をして、ノートを取りあげてみると、拙劣な、しかし丁寧な字がならび、原語は四頁まで刻命に、それでも間違だらけで書きとられ、その次の頁から、原語だけは諦めたと見えて空白になっていた。繰り拡げている中に久能は羞かしさや、屈辱や、恐怖が湧いて来た。大垣で高利貸をしている青江の父や、玄人上りの、時々、株を張りに堂島に出かけていくという継母や、一眼で淫蕩を想像させる青江が自分の血に交ってくる予感! その押えきれない恐怖心で久能は青江を突き退け、僕のノートを汚さないで貰いたいなと震えた声音でいい、それだけでは不安を押えることも、怒りを相手に伝えることも出来ないという半ばは意識的な遣方で、いきなりばりばりと十二頁のノートを引きさいて、下へ持ってって下さいと青江の前に突き出すと、青江はかすかな冷笑で久能を見返し、なぜいけないの、というので、彼は、こんな字汚なくて読めない、と答え、久能さんの字だって綺麗な方じゃないわ、とやり返して来る青江に、僕の