Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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レモンのはなのさくおかへ

レモンの花の咲く丘へ

国枝 史郎

Lesen Sie レモンの花の咲く丘へ (レモンのはなのさくおかへ) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.016 Zeichen · 142 Bildschirme

Aozora Bunko

あの影の下りきらぬ中に、私は機を織らねばならぬ。(無音にて機を織る。――杳の屋外にて、堅き城門の開く音す。女子は機の手を止めて耳を澄ます。その音尚かすかに響き来る)

女子 剣でかこまれた第一の城門が、たやすく開く筈はないが、(と考え)今の音はどうやらその城門が開いた音のように思われる。(音なお残りて聞こゆ)あれあれまだ鳴っている。鋼鉄の琴のゆれびきのように、あれあれまだ鳴っている。(音次第に幽になりて遂に止む)止んだ! (と淋しく笑い)私の耳の空聞だろう、剱で守られたあの城門が、何んで容易く開くものぞ、あの音は空の真ん中で鳴りはためく、雷の音であったのだろう。(やや長き沈黙。音の有無を聞き澄ます。――塔を吹く風の音)塔を吹く風の音が、挽歌のように鳴っている。(水門へ流れ入る水の音)そして水門へ流れ入る水の音が、屍をのせた柩の舟を運び行くように聞こえている……。ただそれだけだ。……何も聞こえない。……城門が開いたと思うたのは、ほんの私の空耳だろう。(間)空耳で幸いな。あれが空耳でなかったら……。ほんに城門が開いたのなら、(恐ろしげに)私の運命が……運命の糸が切れるだろう。