Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

レモンのはなのさくおかへ

レモンの花の咲く丘へ

国枝 史郎

Lesen Sie レモンの花の咲く丘へ (レモンのはなのさくおかへ) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.016 Zeichen · 142 Bildschirme

Aozora Bunko

(間)海に突き出した高殿の一郭は岩の上の鷲の巣のように、まことにあやうく見えるけれど、勇ましさも一層で、美しさはそのあやうく勇ましい所にひそんでいる。あの高殿で恋を語ったら、どんなに悦しいことだろう。

従者 御前様!

領主 (うるさげに)何だと云うに。

従者 もう窓から外を見るはおよし遊ばせ。

領主 いいではないか、外を見るのは俺の勝手だ。お前は俺の云いつけた通り、御客様を御馳走する準備をせい。(とまた窓の外を向き)ああ初夏の夕べほど気持ちのよいものはない。草花の雌蘂には咽せかえる程の香りがあり、花弁にはルビーのような露が溜り、黄金虫は囁くような恋の唸りや、訴えるような羽音をさせて、花から花、梢から梢へと飛び巡る。物の音色、光や陰には優しい艶が着き、人々の眼差しには、たえられぬ内心の悶えや恋や喜びが、恥かしい程あふれている。(間)だが俺の心はどうだ、(破裂せる如き調子)俺の心はまるで謀反人の心のように、絶えず苦しみ、気を遣い、他人の思慮を憚り、そして常時疑っている。(窓を離れる。――と従者と顔を見合わせる)まだいたのか。

従者 はい、お殿様のお心を伺わぬうちは参りませぬ。