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Japanische Klassiker mit Furigana

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いったとはは

一太と母

宮本 百合子

Lesen Sie 一太と母 (いったとはは) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.507 Zeichen · 21 Bildschirme

Aozora Bunko

「ええ、有難う。本当に親父のいる頃不自由なくしてやってた癖が抜けないでね。本当に困っちゃいますよ」

一太は、楊枝の先に一粒ずつ黒豆を突さし、沁み沁み美味さ嬉しさを味いつつ食べ始める。傍で、じろじろ息子を見守りながら、ツメオも茶をよばれた。

これは雨が何しろ樋をはずれてバシャバシャ落ちる程の降りの日のことだが、それ程でなく、天気が大分怪しい、或は、時々思い出したような雨がかかると云うような日、一太と母親とにはまた別な暮しがあった。稼ぎというのが正しいのだろう。やっぱりその仕事はきっと幾らかの金になったのだから。

それは訪問であった。玉子売りのときのように知らない家の水口から一太が一人で、

「こんちは」

と訪ねるのではない。母親がそのときは一太の手をひいて玄関から、

「今日は、御免下さい」

と、お客になって行くのであった。一太が一々覚えていない程、その玄関はいろいろで――大きかったり小さかったりで――あったが、その玄関が等しくツメオの小学校時代の友達や先生の家の入口だということは同じであった。ツメオは一太とその玄関から座敷に通された。一太の母は、家にいるときや、普通一太に口を利くときとはまるで違った物云いをした。