Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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いっすんぼうし

一寸法師

江戸川 乱歩

Lesen Sie 一寸法師 (いっすんぼうし) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 96.475 Zeichen · 194 Bildschirme

Aozora Bunko

最早や逃げる場所がなかった。そこから飛び降りて頭をぶち破るか、おとなしく繩を受けるかだ。

追手達は身構えをしながら、瓦を一枚一枚這寄って来た。畸形児ののぼせ上った目には、それが三匹の大トカゲの様に見えた。彼はあてもなくキョロキョロと四方を見廻した。すると、ふと目についたのは、湯屋の煙突だった。黒く塗った太い鉄の筒が、すぐ側の瓦の中から、空ざまに生えていた。彼はいきなりその煙突にとりつくと、得意の木登りでスルスルと登って行った。

追手は同じ様に煙突を登る愚をしなかった。彼等はその下に集って、瓦のかけらを木の上の猿に投げつけた。そして気長に相手の疲れるのを待つ積りだ。

だが畸形児には別の考えがあった。煙突には船の帆柱の様に、頂上から太い針金が三方に出て、その一本が狭い空地を越して、向う側のゴミゴミした長屋の屋根に届いていた。彼はケーブルカーの様にその針金をすべって、向う側に渡る積りなのだ。もしそれがうまく行けば、そこは複雑な迷路みたいな町だし、夕暗のことだから、うまく逃げおおせることも、満更不可能ではなかった。

命がけの軽業が始まった。白衣の怪物が空に浮いた。