Japanische Klassiker mit Furigana
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かじとポチ
一房の葡萄
有島 武郎
Lesen Sie 一房の葡萄 (かじとポチ) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 23.753 Zeichen · 48 Bildschirme
まぎれにそっとあの大事な玉をぬすんでしまったのだ。私はもう目が見えなくなってもいいからどうか私の目からひとみをぬき出してあの二人にやってくれ」
とおっしゃりながらなお涙をはらはらと流されました。およそ世の中でめくらほどきのどくなものはありません。毎日きれいに照らす日の目も、毎晩美しくかがやく月の光も、青いわか葉も紅い紅葉も、水の色も空のいろどりも、みんな見えなくなってしまうのです。試みに目をふさいで一日だけがまんができますか、できますまい。それを年が年じゅう死ぬまでしていなければならないのだから、ほんとうに思いやるのもあわれなほどでしょう。
王子はありったけの身のまわりをあわれな人におやりなすったのみか、今はまた何よりもたいせつな目までつぶそうとなさるのですもの。燕はほとほとなんとお返事をしていいのかわからないでうつぶいたままでこれもしくしく泣きだしました。
王子はやがて涙をはらって、
「ああこれは私が弱かった。泣くほど自分のものをおしんでそれを人にほどこしたとてなんの役にたつものぞ。心から喜んでほどこしをしてこそ神様のお心にもかなうのだ。昔キリストというおかたは人間のためには十字架の上で身を殺してさえ喜んでいらっしたのではないか。