Japanische Klassiker mit Furigana
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かじとポチ
一房の葡萄
有島 武郎
Lesen Sie 一房の葡萄 (かじとポチ) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 23.753 Zeichen · 48 Bildschirme
火事とポチ
ポチの鳴き声でぼくは目がさめた。
ねむたくてたまらなかったから、うるさいなとその鳴き声をおこっているまもなく、真赤な火が目に映ったので、おどろいて両方の目をしっかり開いて見たら、戸だなの中じゅうが火になっているので、二度おどろいて飛び起きた。そうしたらぼくのそばに寝ているはずのおばあさまが何か黒い布のようなもので、夢中になって戸だなの火をたたいていた。なんだか知れないけれどもぼくはおばあさまの様子がこっけいにも見え、おそろしくも見えて、思わずその方に駆けよった。そうしたらおばあさまはだまったままでうるさそうにぼくをはらいのけておいてその布のようなものをめったやたらにふり回した。それがぼくの手にさわったらぐしょぐしょにぬれているのが知れた。
「おばあさま、どうしたの?」
と聞いてみた。おばあさまは戸だなの中の火の方ばかり見て答えようともしない。ぼくは火事じゃないかと思った。
ポチが戸の外で気ちがいのように鳴いている。
部屋の中は、障子も、壁も、床の間も、ちがいだなも、昼間のように明るくなっていた。おばあさまの影法師が大きくそれに映って、怪物か何かのように動いていた。