Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みっつのたから

三つの宝

芥川 竜之介

Lesen Sie 三つの宝 (みっつのたから) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.156 Zeichen · 15 Bildschirme

Aozora Bunko

三

(気違いのように酒場を飛び出してしまう。)

主人 困ったものだ、黒ん坊の王様に殺されなければ好いが、――

三

王城の庭。薔薇の花の中に噴水が上っている。始は誰もいない。しばらくの後、マントルを着た王子が出て来る。

王子 やはりこのマントルは着たと思うと、たちまち姿が隠れると見える。わたしは城の門をはいってから、兵卒にも遇えば腰元にも遇った。が、誰も咎めたものはない。このマントルさえ着ていれば、この薔薇を吹いている風のように、王女の部屋へもはいれるだろう。――おや、あそこへ歩いて来たのは、噂に聞いた王女じゃないか? どこかへ一時身を隠してから、――何、そんな必要はない、わたしはここに立っていても、王女の眼には見えないはずだ。

王女は噴水の縁へ来ると、悲しそうにため息をする。

王女 わたしは何と云う不仕合せなのだろう。もう一週間もたたない内に、あの憎らしい黒ん坊の王は、わたしをアフリカへつれて行ってしまう。

獅子や鰐のいるアフリカへ、(そこの芝の上に坐りながら)わたしはいつまでもこの城にいたい。この薔薇の花の中に、噴水の音を聞いていたい。……

王子 何と云う美しい王女だろう。