Japanische Klassiker mit Furigana
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みうらろうじんむかしばなし
三浦老人昔話
岡本 綺堂
Lesen Sie 三浦老人昔話 (みうらろうじんむかしばなし) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.637 Zeichen · 224 Bildschirme
「旦那様、大変でございます。蝮が這入っております。」
「蝮が……。」と、阿部さんもびっくりしました。まさかに自分の釣ったのではあるまい。そこらの草むらに棲んでいた蝮がびくのなかに這入りこんでいたのを、鰻と一緒に盥のなかへ移したのであろう。お幾は運よく咬まれなかったが、自分は鰻をいじくっているうちに、指が触って咬まれたのであろう。これは大変、まかり間違えば命にもかゝわるのだと思うと、阿部さんも真青になって騒ぎ出しました。
「お幾。早く医者をよんで来てくれ。」
「蝮に咬まれたら早く手当をしなければなりません。お医者のくるまで打っちゃって置いては手おくれになります。」
お幾は上総の生れで、こういうことには馴れているとみえて、すぐに主人の痛んでいる指のさきに口をあてゝ、その疵口から毒血をすい出しました。それから小切を持ち出して来て、指の附根をしっかりと縛りました。それだけの応急手当をして置いて、雨のふりしきる暗いなかを医者のところへ駈けて行きました。阿部さんは運がよかったのです。お幾がすぐにこれだけの手当をしてくれたので、勿論その命にかゝわるような大事件にはなりませんでした。