Japanische Klassiker mit Furigana
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なかむらなかぞう
中村仲蔵
山中 貞雄
Lesen Sie 中村仲蔵 (なかむらなかぞう) von 山中 貞雄 (やまなかさだお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.567 Zeichen · 47 Bildschirme
T「今江戸中、
人気の焦点、
評判男の中村仲蔵が……」
「その仲蔵が……」と過去を想い起すらしく、
T「二十年以前、
貧に窮して、
おやじ橋に捨てた
我子、仲蔵とは……」
「わしはこんな嬉しい事はない」
聞いてた雪枝が仕事の手を止めて、
T「今晩にでも、
兄様に会いに行かれては?」
老人慌てて「馬鹿な事申すでない」
「何故で厶ります?」と、雪枝がきけば、
老人、
T「落ちぶれたりとも、
物部嘉助も、
武士の端くれ」
厳として言い放ち、
T「忰が河原乞食に、
成り下ったと、
世間へ知れては、此の嘉助、
御先祖様に申訳立たぬ」
と云えば、
雪枝、まァと云った体。
嘉助、暗然と涙声で、
T「仲蔵は、
我子とは思わぬ」
と云って、
T「雪枝
そなたもあれを、
兄とは考えるでないぞ」
と云われて、雪枝が涙ぐんで承知して見せると、
老人も泌々、
T「わしは、あれの
素晴らしい評判を、
聞くだけで、
もう満足……」
武家気質の老人が淋しい満足です。悲しい諦めです。
T「こんな極楽はない」
老人の悲痛な叫び聞いては、雪枝もホロリとせざるを得ません。と、彼女の坐って居る背後の窓(障子が開けてある)から、向いの家が見えます。