Japanische Klassiker mit Furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Lesen Sie 丹下左膳 (たんげさぜん) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 340.187 Zeichen · 666 Bildschirme
「どれ、まずどんなようすか」
ようよう腰をあげた忠相が、障子をあけて縁端ちかく耳をすますと、
月も星もない真夜中。
広い庭を濃闇の霧が押し包んで、漆黒の矮精が樹から木へ躍りかわしているよう――遠くに提灯の流れて見えるのは、邸内を固める手付きの者であろう。
池の水が白く光って風は死んでいた。
ただ、深々と呼吸づく三更の冷気の底に、
声のない気合い、張りきった殺剣の感がどこからともなくただよって、忠相は、満を持して対峙している光景を思いやると、われ知らず口調が鋭かった。
「曲者は手ごわいとみえるが、誰が向かっておる」
「岩城と新免にござりますが、なにぶん折りあしくこの霧で……」
「門前――と申したな。斬られた者はいかがいたした?」
「商家の手代風の者でございますが、この肩さきから斜めに――いやもう、ふた目と見られませぬ惨い傷で……」
「長屋で手当をしてつかわしておりますが、所詮助かりはすまいと存じまする」
言うまも、剣を中に気押し合うけはいが、はちきれそうに伝わってくる。
「無辜の行人をッ! 憎いやつめ! しかも大岡の屋敷まえと知っての挑戦であろう」
太い眉がひくひくとすると、忠相は低く足もとの大作を疾呼した。