Japanische Klassiker mit Furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Lesen Sie 丹下左膳 (たんげさぜん) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 340.187 Zeichen · 666 Bildschirme
それでお近づきのしるしに、あたしゃ、ちょいと、ほほほほ、仁義にまかり出たんだよ」
お艶がかすかに頭をさげると、お藤は、
「これを御覧!」と袂からわらじの先を示して、「ね、このとおり生れ故郷の江戸でさえあたしゃ旅にいるんだ。江戸お構え兇状持ち。いつお役人の眼にとまっても、お墓まいりにきのう来ましたって、ほほほほ。こいつをはいて見せるのさ。まあ、あたしはそれでいいけれどお前さんにはかわいい男があったねえ」
お艶は、海老のようにあかくなって二つに折れる。
「男ごころとこのごろのお天気、あてにならないものの両大関ってね」
「え!」と、ぼんやりあげたお艶の顔へお藤の眼は鋭かった。
「弥生さまとかって娘さん、あれは今どこにいるかお前知ってるだろう?」
「ええ。なんでも三番町のお旗本土屋多門さま方に引き取られているとかと聞きましたが――」
これだけ言わせれば用はないようなものだが、
「さ。それがとんだ間違いだから大笑い」と真顔を作ったお藤、「お前さん泣いてる時じゃないよ。男なんて何をしてるか知れやしない。他人事だけれど、あんまりお前って者が踏みつけにされてるからあたしゃ性分で腹が立って……さ、しっかりおしよ、いいかえ、弥生さんはお前のいい人と家を持ってるんだとさ」