Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

Lesen Sie 丹下左膳 (たんげさぜん) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 340.187 Zeichen · 666 Bildschirme

Aozora Bunko

「ねえ先生、どこまでゆくのでございましょうか。ずいぶん遠うございますねえ。ここはもう江戸ではございますまい?」

泰軒の笑い顔が振り向いた。

「そうさ。江戸ではない。が、日本のうちだ。安心してついて来なさい。だいたい発足した時から、遠いがええかとわしは念を押したはずだ。夜みちをかけてかわいい男に会いにいこうというのに、そう気の弱いことではしようがないな、ははははは」

「でも――」とお艶はあえいだ。

「でも……なんじゃな?」

「でもね先生、後生ですからうちあけておっしゃってくださいましよ。あの、栄三郎様は、ほんとにその千住の竹の塚とやらにおいでになるのでございますか」

「行ってみりゃあわかる。一番の早道だ」

「そして――そして、おひとりで……?」

「さ、それもこれから寝こみを襲えばすぐわかろう」

じらすように泰軒が言うと、お艶は情けなさそうにうつむいてかぶっている手拭のはしを前歯に噛んだ。

罪だ……とは思うが、どうせ後から笑いばなしになることと、泰軒は微笑の顔を見せないように先に立つ。

あとに続くお艶の心中は、嫉妬と不安とはかない喜びにかきむしられて、もつれもつれた麻糸の玉だった。