Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

Lesen Sie 丹下左膳 (たんげさぜん) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 340.187 Zeichen · 666 Bildschirme

Aozora Bunko

音もなく流れこむしめっぽい夜風。

とたんに、またひとしきり咳いた弥生は、

「おや! 窓をしめ忘れて……」

と独語ちながら、わざわざ人を呼ぶほどのこともないと、静かに夜着をはねて起きあがったが。

そのときだった。

今にも降り出しそうな戸外の闇黒から、何やら白い礫のような物が、窓の桟のあいだを飛んできて畳を打った。

ふしぎそうに首を傾けた弥生、こわごわ拾いあげてみると、紙片で小石を包んで捻ってある――文つぶて。

なんだろう? と思うより早く、弥生がいそいで開くと、小石が一つ足もとにころげ落ちて、手に残ったのは巻紙のきれはし。

誰の字とも弥生はもとより知る由もないが、金釘流の文字が野路の時雨のように斜めに倒れて走っている。

失礼ながら一筆申しあげそろ。

お艶栄三郎どのがたのしく世帯を持って夫婦ぐらしのさまを見るにつけ、おん前さまがいじらしくてならず、いらぬこととは存じつつお知らせ申しそろ。その場へおいでのお心あらば、わたしがこれよりおつれ申すべく早々におしたくなされたくそろ――ごぞんじより。

はっとよろめいた弥生、窓につかまってさしのぞくと、御存じよりとはあるが、見たこともない女がひとり、いつのまにどうしてはいりこんだものか、小雨に煙る庭の立ち木の下に立って、白い顔に傘をすぼめておいでおいでをしている。