Japanische Klassiker mit Furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Lesen Sie 丹下左膳 (たんげさぜん) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 340.187 Zeichen · 666 Bildschirme
「はい。出ます、出ます。こうでございますか」
ふたりがびくびくもので、一、二寸前へ刻み出たとき、源十郎は、大刀に鍔鳴りをさせて叱した。
「何者かが当屋敷に関してよけいなことを申したのを、市井匹夫の浅はかさに真にうけたものであろう。どうじゃ?」
「へ?」
ときき返したが、両人ともよくわからないので、モジモジ黙っていると、源十郎は続けて、
「おさよ殿を従前どおりおれの手もとにおいたとて、貴様らに迷惑の相かかるようなことはいたさぬ。源十郎、不肖なりといえども、年長者の敬すべきは存じておる。いま貴様らに見せるものがあるから庭先へまわれッ!」
ホッとして喜左衛門と富五郎、うら口を離れてひだりを見ると、中庭へ通ずる折り戸がある。それを押して、おそるおそる奥座敷の縁下、沓脱のまえにうずくまると、
「両人! 面をあげい! おさよ殿じゃ」
という源十郎の声に、おさよがあとをとって、
「おや。喜左衛門さんに富五郎どんかえ。ひさしく御無沙汰をしましたが、おふたりともいつもお達者で何よりですねえ、はい……」
はてな! と顔をあげてよく見ると、奉公にあがったはずのおさよ婆さんが、これはまたなんとしたことか、殿様の御母堂然と上品ぶって、ふっくらとしたしとねの上から淑やかに見おろしている。