Japanische Klassiker mit Furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Lesen Sie 丹下左膳 (たんげさぜん) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 340.187 Zeichen · 666 Bildschirme
「どうしただね? 腹でも痛み出したかね?」
うるさくきくので、与吉はこれをいいことに、
「うん? ううん……なんでもねえ。いや、腹が痛えや。こんな団子を食わせるからだ」
「あんだって、この人は団子にばかりそうけちイつけるだんべ! 三皿もお代りしたくせに……」
顔をしかめてうなりながら、与吉がチラ! チラ! とうしろをふり返ると、路をへだてた床几に泰軒先生それこそ泰然と腰をすえてまたたきもせずにこっちの方をみつめている。
与吉は、ジリジリと背中が焼けつくようで、いてもたってもいられぬ心地。
蛇ににらまれた蛙同然――人もあろうに一番の難物が、どうしてここへこうヒョッコリ現れたんだろう! こいつア厄介なことになったもんだ! と一時は与吉、顛倒せんほどに驚いたが、なあに、この先まだ道は長え。宇都宮へへえるまえにでもどこかできれいにまいてやろうと決心を固めて、
「爺さん! ホイ、茶代だ。ここへおくぜ」
と勢いよく起ちあがると、それを待っていたように、むこう側の茶店でも泰軒が腰をあげたようす。
首すじがゾクゾクして、与吉はともすれば立ちすくみそうになったのだった。