Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Lesen Sie 丹下左膳 (たんげさぜん) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 340.187 Zeichen · 666 Bildschirme
世は泰平に倦み、人は安逸に眠って、さてこそこんな男おんなみたいな商売もあらわれたわけだろうが、この風流べに絵売り、そのころボツボツ出はじめた当座で、だいぶんそこここの往来で見かけるのだった……。
雨あがりの朝。
外桜田の大岡様お屋敷をあとにした泰軒とお艶に、うららかすぎて、春にしては暑いほどの陽のひかりがカッと照りつけ、道路から、建物から、草木から立ち昇る水蒸気が、うす靄のようによどむ町々を罩めていた。
お江戸の空は紺碧だった。
一日の生活にとりかかる巷の雑音が混然と揺れ昇って、河岸帰りの車が威勢よく飛んでゆく。一月寺の普化僧がぬかるみをまたいで来ると、槍をかついだ奴がむこうを横ぎる。町家では丁稚が土間を掃いていたり、娘が井戸水を汲んでいるのが見えたり、はたきの音、味噌汁の香――。
親しい心のわく朝の街である。
途中何やかやと話し合いながら呉服橋から蔵屋敷を通って日本橋へ出た泰軒とお艶。
こっち側はお高札、むこうは青物市場で、お城と富士山の見える日本橋。
その橋づめまで来ると、泰軒はやにわに、
「あんたのいるところはやぐら下のまつ川といったな。ま、いずれそのうちには他ながら栄三郎どのに会う機もあるであろうから、気を大きく持って……お! それから、何よりも身体を大切に、あんたひとりの身体ではないで、むりをせんように