Japanische Klassiker mit Furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Lesen Sie 丹下左膳 (たんげさぜん) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 340.187 Zeichen · 666 Bildschirme
さくら暦
一あめごとのあたたかさという。
咲き始めた。いや、さきそろった。もう散った――などとこのあわただしさが、さくらのさくらたる命だと聞くが、風呂屋や髪床のような人寄り場に、桜花より先に、花のうわさにはなが咲く……そうした一日の午後だった。
「いや、ようよう、我善坊の伯父御隈井九郎右衛門殿から五十両立て換えてもらって、おれもこれでほっといたした。どうもこの節はふところ工合が悪く、そこもとにいろいろと心配をかけて相すまない。が、マア、こうして手切れの金もできたのだから、この上は一刻も早く栄三郎に渡して離縁状を取って来てくれるよう……源十郎、このとおり頼み入る」
「ま! 殿様、なんでございます、おじぎなんぞなさいまして!」
「ははは、不見識だといわるるか。ハテ、実は母者人に生きうつしのそこもと、これからはまたお艶のお腹さまとして拙者にとっては二つとない大切な御隠居、そのお人に頭をさげるに、なんで異なことがござろう?」
「ホホホホ、それはまあそうでしょうけれど……ではあの五十枚たしかに」
しずかな声が曇った春の陽のうつろう縁の障子をポソポソと洩れ出ている。
本所法恩寺前――化物やしきと呼ばれる五百石小ぶしん入りの旗本、鈴川源十郎の奥座敷である。