Japanische Klassiker mit Furigana
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いきりょう
久生十蘭ジュラネスク 珠玉傑作集
久生 十蘭
Lesen Sie 久生十蘭ジュラネスク 珠玉傑作集 (いきりょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.698 Zeichen · 42 Bildschirme
四
小褄をきりっと膝の間にかいこんだいいようすで、すこし首をかしげて三十郎の顔をながめている。
阿娜っぽくて高尚で、どんな品のある人間の女だって、これほどの色気はないのである。
「ねえ、どうしても起きないの……起きないと噛ってやるぞ!」
噛られては困ると思って、起きあがってむんずりと辣薤の葉の上に坐ったら、お尻が露に濡れたとみえてひんやりと冷たかった。
狐はますますいい気なもので、三十郎と並んでしゃがみながら、
「ねえ、あなたの職業をあててみましょうか」
「あててみろ」
「あなた絵描きね」
「なるほど、お見通しだ……神通力!」
「と、いうほどでもないの。あなたの懐からスケッチ・ブックがのぞいている。こんな夜更けさ更けまでスケッチしてあるくわけでもないんでしょう。それ、伊達なのね」
「こいつ、早熟ている。……そういうお前はなんだ」
「あたし、狐よ……ごぞんじのくせに」
この時、そばの茅の繁みで、くゎんと狐が鳴いた。
四
女狐はニッコリ笑って、
「ほらね、あれは、あたしの眷属……」
頭に掛けていた手拭をとると急に真面目な言い方になって、
「これをお敷きなさいまし。冷たいでしょう、露だらけですから……」